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ほんのひとにぎり

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【書評】三大幸福の一つラッセル幸福論を解説!ラッセルの最も伝えたいこととは・・?

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幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そしてあなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。

はじめに

みなさんは三大幸福論をご存知でしょうか?様々な人物が幸福について論じていますが、その中でも有名な三つの論です。

一つはアランの幸福論です。これは数年前にすこしブームになったので読んだ方も多いと思います。

そして二つ目がヒルティの幸福論。これはスイス人のカールヒルティによる作品です。僕が読んだ感想としては三大幸福論の中で一番難解だったと思います。

そして三つ目が、この記事で紹介するラッセル幸福論です。三大幸福論の中で一番好きなので、この記事で紹介することにしました。

とても素晴らしい本なのでみなさんに読んでもらえるように、ラッセル幸福論の考え方を紹介したいと思います。

 

バートランドラッセルって?

バートランドラッセルは1872年生まれのイギリス人です。

数学者、哲学者、論理学者として活躍し、数々の功績を残しました。

少年時代は毎日、命を絶つことを考えていたほど、人生に絶望していたらしいです。

しかし、数学と出会いそれに楽しみを見つけたことで人生が充実していったそうです。

また、平和主義者であり人道的理想や思想の自由を尊重する著作群が評価されてノーベル文学賞を受賞しています。

 

ラッセル幸福論の重要テーマ

興味の対象を外の世界へ

ラッセルの最も大きな主張の一つは「興味の対象を自分ではなく外の世界の何かに向けろ」ということです。

様々な章で繰り返し言葉を変えてそのことを伝えています。

外的な事情がはっきりと不幸でない場合には、人間は、自分の情熱と興味が内ではなく外へ向けられているかぎり、幸福をつかめるはずである。だから、教育においても、また、外界に順応しようと努める際にも自己中心的な情念を避けるととに、絶えずわがことばかり考えるのを食い止めてくれるような愛情や興味を身に付けるように心がけなければならない。

 

ラッセルはこの本のターゲットとして、極端な外的不幸のない人をターゲットとしています。

具体的には、衣食住が何とかできる収入と、日常活動ができる健康な人です。

そういう人物であれば、外への興味を持つことにより、幸福をつかめるといっています。

ラッセルの主張で一貫しているのは、「自分のことではなく、外部のことに興味をもて」ということです。外部への興味が幸福へのカギです。

 自己没頭は、治されるべき病気の一部であって、それというのも、調和のとれた性格は外に向かうものだからである。

 

調和のとれた性格はそとに向かう。

身の回りの人物を考えてみても確かにそうだと思います。

精神的に安定している人ほど、周りを気にかけたり、没頭できる趣味を持っているものです。

反対に精神的に不安定な人は、自分がどう思われているかなど自分自身のことについて考えがちです。

根本的な幸福は、ほかの何にもまして人や物に対する友好的な関心とも言うべきものに依存しているのである。

 

お金は人を幸せにしてくれるわけではない、といいますが、お金は人や物をつなぐことを補助する道具であって、それ自身が幸福をもたらすものではないからだと思います。

このラッセルの言葉のように、幸福は人や物(没頭できる趣味)などによってもたらされると思います。

お金がなくても幸せな人はいくらでもいますよね。

それは信頼できる人物がいたり、自分なりの趣味をもっているからです。

極端にお金がない場合は、それ自身が不幸の原因になるのでいくら人や物に恵まれていても厳しいですが。

とにかく、人や物に対する友好的な関心というのが幸せの秘訣だそうです。

人間、疲れれば疲れるほど、外部への興味が薄れていく。そして、外部への興味が薄れるにつれて、そうした興味から得られる息抜きがなくなり、ますます疲れることになる。この悪循環は、結果的にとかく神経衰弱を引き起こしやすい。外部への興味が気分を休ませるのは、それがいかなる行動をも要求しないからだ。決断を下したり、意志を行使したりするのは、いかにもしんどいことである。

 

確かに私たちが安らぎやリラックスを得るのはいつも外部のことからです。

息抜きの方法として、「自分自身のことを考える」という方法を行っている人はいません。

友達と遊んだり、趣味を行ったり、周りのことから安らぎを得るはずです。

疲れてしまって、思い悩んだりすることは誰でもありますが、それが行き過ぎてしまうと良くありません。

気分を休ませるのはラッセルが言う通り、外部への興味です。疲れたときは悪循環に陥らないように、気分転換するのが良いと思います。

 

このようにラッセルは言葉を変えて「自分自身ではなく外部への興味を持て」と主張し続けています。

自身の身内に統合失調症が多かったラッセルは、そうした患者を見た経験からもそういっているのかもしれません。

実は、「嫌われる勇気」などで有名となった、アドラーも同じような主張をしています。

アドラーは精神病患者へのカウンセリングをしていた時期がありました。そこで彼は、患者の興味を外部へと向けることを最優先事項にしていたそうです。

やはり、人間が精神に異常をきたしているときは、思考の対象が内へ内へと向かっていってしまうそうです。

 

ラッセルは極端に不幸な外的要因がない限り幸福になることが出来るといっています。

僕の中ではラッセル幸福論はアドラー心理学と並んで、多くの人を助けると思います。

というのも現代では、衣食住に困る人はあまりいません。

もっと良い服が着たい、もっと良いところに住みたい、という意味で困っている人はいるかもしれませんが、この幸福論が書かれた当時のように、戦争が起きて貧窮していた時代に比べたら大したことはありません。

 

外的不幸のない中で、どうやったら幸せになれるか。

昔だったら衣食住が満たされれば幸せだったかもしれません。

でも今はそれだけじゃ満足できないでしょう。

あらゆることが満たされた現代で、私たちは自分の心とどう向き合うかという問題に直面していると思います。

その向き合い方の一つとして「興味を外の世界に向ける」ということをラッセルは主張しました。

主なものはそれですが、そのほかにも幸福になるための自己への向き合い方がわかりやすく論理的に説明されています。

ラッセル幸福論はきっと、現代社会で心が満たされていない方への処方箋になると思います。

思い悩んでいる方はぜひ読んでみることをおススメします。

ラッセル幸福論 (岩波文庫)

ラッセル幸福論 (岩波文庫)